見積りが安すぎる業者は本当にお得?職人が考える注意点
更新:2026.07.10
弘前市で屋根塗装・外壁塗装工事を行っている、築舘塗装(合同会
社シェイド)の代表です。
見積りをお出しした際、お客様から
「他社さんのほうが、かなり安かったです」
とご相談をいただくことがあります。
もちろん、安く抑えられるに越したことはありませんし、大切
な大切なお金ですから、安いに越したことはないと思うのは当
然です。私も、お客様に無理に高い工事をおすすめしたいとは
全く思っていません。
ですが、24年以上この街で現場に立ち続け、多くの屋根や外
壁を見てきた一人の職人として、これだけは確実にお伝えでき
ることがあります。
それは、「見積りは『高いか安いか』よりも、『なぜその金額
になっているのか』の理由が一番大切」ということです。
同じ家なのに、なぜ数十万円も違うのか?
塗装や屋根の工事は、まったく同じ家であっても、会社によっ
て驚くほど金額が変わることがあります。
A社:100万円の見積り
B社:130万円の見積り
C社:150万円の見積り
これを見たら、お客様が「同じペンキを塗るだけなのに、なん
でこんなに違うの?」と疑問に思うのは当然ですよね。
実は、この金額の差は「塗料の代金」ではなく、「目に見え
なくなる施工内容(工程)」にあることがほとんどです。
一番削られやすいのは、完成後に隠れる「下地処理」

塗装工事において、一番コスト(人件費)がかかり、同時に一
番重要なのが「塗る前の準備作業」です。
ケレン作業 (鉄部のサビや古いペンキの膜をきれいに削り落
とす)
コーキング工事(目地の隙間を埋めて雨水の浸入を防ぐ)

ひび割れ補修・高圧洗浄・サビ処理

これらの工程は、上から綺麗にペンキを塗ってしまえば、工事
が終わった時点ではお客様からは一切見えなくなります。
そのため、「見積りを極限まで安くする」ために、一番真っ先
に削られやすいポイントでもあるのです。
しかし、実際にはこの下地処理の丁寧さこそが、5年後、10
年後に「塗装が長持ちするか、すぐに剥がれてしまうか」の寿
命を100%左右します。
弘前の気候だからこそ、絶対に短縮できない「乾燥時間」
もう一つ、安くするために削られがちなのが「工期(職人の人
件費)」です。

塗装は、下塗り・中塗り・上塗りと、それぞれの工程で「決
められた乾燥時間を絶対に守る」必要があります。
特に、ここ弘前をはじめとする青森の春先や秋口は、気温がグ
ッと下がったり、朝露が降りたりします。
この地域のリアルな気候に合わせて、乾かす時間をじっくり適
切に管理しないと、どんなに高級な塗料を使っても数年で無意
味になってしまうリスクがあります。
人件費を削るために工事を急ぎ、乾ききる前に次の層を塗って
しまえば、短期的には安く済みますが、数年後に大きなトラブ
ルとして跳ね返ってきてしまいます。
「安いことが悪い」わけではありません
誤解してほしくないのは、私は「安い会社が悪い、手抜きだ」
と否定したいわけでは決してありません。
独自のルートで材料を仕入れたり、徹底的な企業努力によっ
て、企業として適正な低価格を実現されている素晴らしい会社
さんもたくさんあります。
だからこそ、私がおすすめしたい比較の方法は、金額の数字だ
けを見るのではなく、
「この金額で、一体どこまで丁寧に我が家を直してくれる工事
内容なのか」
を、一歩踏み込んで担当者に確認してみることです。理由をし
っかり説明してくれる会社なら、安くても高くても安心です。
私が現地調査で、何よりも大切にしていること
私は、お客様にお見積りをお出しする前に、必ず自分自身の目
で家の状態をじっくり見ます。
「なぜ、ここがこれほど傷んだのか」
「冬の雪の重みや、すが漏れの影響はどこまで出ているか」
「塗装だけで直るのか、それとも大工・板金補修が必要なの
か」
その家の本当の弱点を見極めず、ただ坪数だけを見て「一律〇
〇万円です」と金額を出すことは、プロとして絶対にできませ
ん。原因を突き止めるからこそ、長持ちする根拠のあるお見積
りが作れると考えています。
